オーストラリドルの2005年レート推移
2005年に入ると、ユーロ圏や日本での経済の腰折れが懸念される中、米国経済の強さが注目され、米ドルは全般的にサポートされて買われる展開となった。オーストラリアドル(豪ドル)はそれでも、2005年第1四半期には対ドルで上昇を示す勢いを保持した。これは、豪州企業の買収の思惑や、依然として堅調に推移するコモディティー価格が、豪ドルをサポートしていたからであった。また、日本での売出債の人気も相変わらずたったことにもよる。
しかし、3月初めに発表になった豪州の経常収支(第4四半期)が過去最悪を記録した、3月2日にRBAは利上げしたにもかかわらず、3月22日にFOMCも25bpの利上げをした。 2004年6月以降、米国が利上げ継続を鮮明にしたことで、豪州と米国との金利差が着実に縮小し、豪ドルの魅力が米ドルに劣るようになったからであった。
また、コモディティー価格が堅調にもかかわらずオーストラリアドル/米ドル(AUDUSD)が伸び悩んでいるのは、ユーロの軟調による。5月29日、フランスでのEU憲法批准を巡る国民投票で否決の結果が出て以降、EURが下落したからだ。しかし、AUDUSDは7月に入って反転してきている。これは、2001年夏から悪化を続けてきた豪州の貿易赤字が、ここに来て改善の兆しを見せているからである。特に、豪州が輸出する鉄鉱石、銅や石炭の価格が上昇してきたことが大きい。
ただ、AUDUSDは夏場0.76前後で推移していた。 秋に入っても、AUD軟調は継続した。ここでは投機筋による豪ドル・ロングの解消が進み、実際、オーストラリアドル/スイスフラン(AUDCHF)のペアが9月の急騰から10月の急落へと変化しており、キャリー・トレードの解消が進んでいることが窺えた。
オーストラリアドルを取り巻く為替市場の情報
東京外為市場は米ドルが対主要通貨でやや弱含んでいるものの、NY市場終盤の米ドル買いの流れが引き継がれ、ドル/円は一時80円台後半へと上値を伸ばした。しかし、米株高を受けて堅調スタートとなった日経平均株価が前日比マイナス圏へと反落したことなどを背景に、米ドル売りへと傾斜。ドル/円が緩やかに軟化し、序盤の上昇分を打ち消す一方、ユーロ/ドル及びポンド/ドルは上値を覗う展開。 ユーロはギリシャ債務問題をきっかけに先週大幅に下落したものの、8日、ノボトニー・オーストリア中銀総裁は、「理論的にも経済的にも、一部諸国のユーロ圏の離脱は考えられない」「債務諸国のユーロ圏の離脱についての憶測は、ばかばかしい」とギリシャを含む債務諸国のユーロ圏離脱を否定したことがユーロの下支えとなっている。 豪ドルは上昇。時間外取引でNY金先物が再び1500ドル台を回復しているほか、NY原油先物も反発に転じている事などが好感されている模様。明日(日本 時間10日10時30分)発表が予定されている豪州貿易収支は、前回(2月)の マイナス2.05億AUDの赤字から、今回(3月)はプラス5.00億AUD予想となっており、大幅な改善が見込まれている。