オーストラリアドル各年解説(2003年の値動き)
イラクにおける、連合軍による短期間での勝利にもかかわらず、米ドルは全般的に売られる展開となった。スイスフランやユーロが対米ドルで上昇し、豪ドルも買われた。しかし、オーストラリアドル(豪ドル)はユーロに対しては弱含んだ。金利格差や経済パフォーマンスの良さでは、豪はユーロ圏のそれを上回っていたのだが、投資家が第二の基軸通貨であるユーロを選好した格好となった。
それでも2003年を通じて、豪ドルは対米ドルでは上伸基調を保持する展開であった。日本をはじめ、海外の投資家からの豪ドル債券への需要は旺盛で、2月には2002年10月のムーディーズに続いて、S&Pが豪州政府発行の外債をAA+からAAAに格上げしたことも、豪ドル買いに拍車をかけた(フィッチ社も2月に格上げ)。
2003年夏場にオーストラリアドル/米ドル(AUDUSD)は下落に転じたが、これは主として、豪ドル・ロングの利食いによる解消売りが盛んであったこと、さらには、金利格差として豪ドルの優位というテーマが薄れたことにもよる。9月20日、下バイにおけるG7での声明、「為替相場のさらなる柔軟性が望ましい」という表現で、人民元のドルペグ解消や米政府のドル高政策遂行困難などの思惑により、ドルが売られた。
また、マクロファンドやCTA、さらには機関投資家や企業までが、新規にオーストラリアドルのキャリー・トレードを仕掛けたことも、豪ドルの上昇に拍車をかけた。さらに、グローバル経済の好転による8月からのコモディティー価格の上昇は、豪ドルを後押しした。 AUDUSDは2003年末には0.7520の高値引であった。
オーストラリアドルを取り巻く為替市場の情報
東京外為市場は米ドルが対主要通貨でやや弱含んでいるものの、NY市場終盤の米ドル買いの流れが引き継がれ、ドル/円は一時80円台後半へと上値を伸ばした。しかし、米株高を受けて堅調スタートとなった日経平均株価が前日比マイナス圏へと反落したことなどを背景に、米ドル売りへと傾斜。ドル/円が緩やかに軟化し、序盤の上昇分を打ち消す一方、ユーロ/ドル及びポンド/ドルは上値を覗う展開。 ユーロはギリシャ債務問題をきっかけに先週大幅に下落したものの、8日、ノボトニー・オーストリア中銀総裁は、「理論的にも経済的にも、一部諸国のユーロ圏の離脱は考えられない」「債務諸国のユーロ圏の離脱についての憶測は、ばかばかしい」とギリシャを含む債務諸国のユーロ圏離脱を否定したことがユーロの下支えとなっている。 豪ドルは上昇。時間外取引でNY金先物が再び1500ドル台を回復しているほか、NY原油先物も反発に転じている事などが好感されている模様。明日(日本 時間10日10時30分)発表が予定されている豪州貿易収支は、前回(2月)の マイナス2.05億AUDの赤字から、今回(3月)はプラス5.00億AUD予想となっており、大幅な改善が見込まれている。